リーンキャンバスとは?事業アイディアを成功させる書き方を解説
リーンキャンバスとは?

リーンキャンバス(Lean Canvas)は、起業家のアッシュ・マウリャ氏によって提唱されたフレームワークでスタートアップのビジネスモデルを可視化するためのツールです。
リーンキャンバスは、既存企業が使うビジネスモデル・キャンバスからスタートアップには重要ではない項目が省略されているため、スタートアップが重視すべき顧客、課題、解決策によりフォーカスすることができるように設計されたフレームワークになります。
基本的に、数字の順番で作成します。
リーンキャンバスのメリット
なぜ、スタートアップがリーンキャンバスを活用するメリットを3つ紹介します。
短時間で作成が可能
リーンキャンバスは項目が厳選されてシンプルなため、誰でもすぐ理解して作成することができます。作成時間の目安ですが、10~20分とされています。
ビジネスモデルを可視化でき共有しやすい
リーンキャンバスは、新規事業をつくるうえで必要最低限の要素を網羅的に可視化することができます。リーンキャンバス1つでビジネスモデルをメンバーに簡単に共有できるのでコミュニケーションをスムーズに行えます。
また、リーンキャンバスはチーム内でのリスク要因分析にも役立ちます。
スタートアップの場合、各項目で以下のようなリスク要因があります。

スタートアップや新規事業開発でのよくある失敗として
- 高性能の商品/サービスを開発したが、顧客課題を解決するものではなかった
- 顧客に認知されるチャネルが無かった
- 収益化する前に資金が底をついた
このようなリスク要因が挙げられるので注意が必要です。
ブラッシュアップがしやすい
短時間で作成できるため、容易にブラッシュアップできるのもリーンキャンバスを用いるメリットになります。ブラッシュアップしやすいため全ての項目をきっちり作りこむ必要もありません。というのも初期段階の起業・事業アイディアは、仮説検証をしながら修正されて形になっていきます。最初から時間と労力をかけて事業計画書を作成するのは非効率です。また、仮説検証前に計画書を作りこむと自分本位の事業案になってしまい、顧客ニーズと乖離してしまい、事業案の失敗を招きます。
リーンキャンバスの作り方

ここから項目ごとに解説していきます。
①顧客セグメント
これは「あなたが商品・サービスを届ける顧客は誰か?」です。どんなに素晴らしい商品/サービスを開発しても購入してくれる顧客がいなければ事業として成り立ちません。
最初の顧客を考える際は、アーリーアダプター(流行に敏感で積極的に情報収集を行い、日常的に課題に対する代替案を探している人)を狙うことです。今後、事業アイディアを仮説検証し修正していくうえで、アーリーアダプターからのフィードバックが重要な役割を果たすことが多いためです。
なお、顧客セグメントを設定するときは、「20代女性」のようなざっくりとした書き方ではなく、具体的かつ臨場感のあるペルソナ(仮想的な人物像)を設定することが重要です。
例えば、「ヨガが趣味で健康食品にこだわりのある東京在住の20代女性」
②課題
これは「その顧客が困っていること、解決したいことは何か?」です。例えば、BtoBの場合「採用コストが高い」「集客が上手くいっていない」などが挙げられます。このとき意識したいのがその課題がいつ、どこで、なぜ起きるかと代替案は何かです。
いつ(when):どんなときに
どこで(where):どんな場所で
なぜ(why):どうして課題が発生するのか
代替案:課題をどう解決しているか、代替案が顧客に選ばれる理由は?
これらを言語化できると、顧客が本当に困っていること、解決したいことが理解できるようになります。
リーンキャンバス作成時は、考えられる顧客課題を複数書き出し、特に優先度の高いかつ大きいものを3つ厳選しましょう。
③独自の価値提案
これは「顧客課題に対して、自社の商品/サービスがどのような独自の価値を提供できるか?」です。言い換えれば、自社商品/サービスの最大のウリは何かを記載する項目です。価値提案の切り口として、技術、知見、経験、設備、組織、人材、歴史、ネットワーク、理念などがあります。
ここで、分かりやすくシンプルなハイレベルコンセプトが求められます。要するに「自社の商品/サービスを一言で表すと?」です。
ここまでで、事業アイディアの土台が完成します。ここから先は、そのアイディアを実現させるための具体的な施策を考えます。
④解決策(ソリューション)
顧客課題に対してどのように解決するかを考えます。解決策は手段であり、今後の仮説検証によって変わるため初期段階から作り込む必要はありません。
初めは、複数書き出して有力なものを3つ厳選しましょう。
⑤チャネル
チャネルとは、顧客と自社が接点を持つ経路のことを指します。要するに、「どうやって顧客にアプローチして、自社の商品/サービスを届けるか」です。一般的にチャネルは、販売、流通、コミュニケーションの3つと言われています。
ここでは、顧客がどこで商品情報を知り、購入に至るまでの具体的な行動を把握することが大切です。
⑥マネタイズ(収益の流れ)
ここでは、事業アイディアの収益モデル、価格、支払い方法を考えます。
基本中の基本ですが、売上=単価×人数×利用頻度です。
⑦コスト構造
事業に必要なコスト(=費用)を洗い出し、売上に対してどのくらいの利益が出るかを把握します。
人件費、開発費、広告費、オフィス賃料、システム管理費などを初期コストと継続コストで分けて自社商品/サービスが市場に出るまでの費用を計算します。継続コストは、固定費と変動費に整理すると収支の把握がしやすいです。
⑧主要指標
主要指標とは、事業の成功を測るための数字(KPI)です。顧客獲得数、顧客契約数、顧客単価、解約率、顧客満足度など事業の売上や継続性に直結する指標を特定しましょう。
ここではAARRRモデルが参考になります。

まお、事業案によって特定する主要指標が異なるため注意してください。
⑨圧倒的な優位性
競合他社と比較して、自社が圧倒的に優れている要素を書き出します。(例:技術力、顧客情報、専門家の支持、ブランド力、特定の分野における専門知識など)
なお、優位性は事業拡大において重要な役割を果たしますが、初期段階では書けなくても構いません。
まとめ
リーンキャンバスは、事業アイディアを短時間で、網羅的に言語化できるためBtoB・BtoCの両方で役立ちます。
リーンキャンバスはビジネスモデル・キャンバスに比べ、必要最低限の項目しかなくシンプルなフレームワークですが、限られた資金や労力の中で、仮説検証を繰り返すには最適なフレームワークになります。
事業アイディアをビジネスとして落とし込みたい方は参考にしてください。経験上、顧客セグメント、課題、独自の価値提案の3つが具体的なリーンキャンバスは、仮説検証のスピードも速く、事業アイディアが成功しやすいです。
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